● 看護師と一言でいってもいろんな働き方がある
看護師という仕事は思ったよりも多彩です。
たとえば同じ一般の病院でも様々な「科」があります。さらに病院内でも外来・病棟・手術室等、場所によってそれぞれ仕事内容が異なっています。また、病院も100人以上の医師や看護師が働く大病院もあれば、地域に密着したクリニックなどもあります。
職先を選ぶなら、まずはどのような看護師の働き方があるのかについて調べ、どんな看護師になりたいのかということを具体的にしていくことが大切です。
例えば、「一人一人の患者さんとじっくりと向き合いながら仕事をしたい」と考えるならば、慢性期の療養型の病院など。「地域の医療を支える看護師になりたい」ならば、地元密着型の中小病院やクリニックなど。「専門技術をどんどん極め、スキルアップしていきたい」と考えるなら、大学附属病院や大病院など……
どの専門学校を卒業するかで将来のコースがある程度決まってしまいます。そのため、自分が目指す看護師になるためにはどの看護学校・看護短大・看護大学を選択はじっくりと考えたうえで慎重に選びましょう。
● 病院内でも受け持つ場によって様々な能力が必要
このように多彩な職場ですから、外来・病棟・さまざまな科によっても様々な能力が必要になってきます。
● 外来
外来は、まず患者さんが初めて病院を訪れる際や、定期的に薬を処方してもらう方を診察します。そのため、病院の「顔」とも言われ、看護師の対応が即病院のイメージにつながっています。
そのため、点滴・注射などの基礎技術などのほかに、医師や患者とのコミュニケーション能力が必要になります。
待合室で待っている間に、急に具合が悪くなる患者さんがいたり、長時間待たされることでイライラがたまっている患者さんもいます。そういった大勢の方の様子を観察し、対応しなければなりません。
幅広い知識と技術を身に着けて、何かあったときに臨機応変に対応できることも必要ですし、患者さんを長く待たせないためにも素早く効率的に仕事を進めることも必要になります。
夜勤が少ないため、子育て中の看護師さんにとって働きやすい場所でもあります。
● 病棟
病棟では、入院している患者さんが24時間過ごします。患者さんは比較的元気で身の回りは大体自分でできる方から、意識のレベルが低く、衣食住すべて介助が必要な方までいます。
どんな状態の患者さんでも「人らしく生きたい」という願いがあります。体を清潔に保つことや食事、排泄、そういったことを手助けしていきます。
また、血圧を測ったり、検温、そのほかの健康チェックを定期的に行うことで、患者さんの回復の状態を把握し、急変の兆候を見逃さないようにしっかりと観察しています。
24時間、患者さんの急変にいつでも対応できるよう、夜勤もあり、3交代制や2交代制で勤務します。
昼間は、一人で7人~10人の患者さんを受け持ちます。そのためそれぞれの病気や患者さんのことについて把握しておく必要があります。様々な病気に対応するため、注射や点滴、その他の医療機器の扱い方や投薬の薬の知識等、幅広い知識が必要になります。
時にはがんやその他の重大な疾患を抱えている患者さんも担当することになります。病気の対応だけでなく、告知や死など患者さんやご家族の心の支えとしてともにつらさを分け合う場面にも遭遇することがあります。
一方、患者さんと一週間から何か月にわたって長い間かかわることができますから、自分がかかわっていくことで患者さんが次第に回復していく喜びを分かち合うことができますので、人と深くかかわりながら看護師の魅力を強く感じることができる場でもあります。
● 手術室
手術室の仕事は、手術が安全にスムーズに進むことができるよう、用具や器具の消毒・配置、手術の介助などをしていきます。機械だしや外回り等を行う上で高いスキルが必要になってきます。また、執刀医、麻酔医等連携も重要です。
手術の場面だけでなく、手術前には患者さんに手術に関するアセスメントをし、直前まで看護計画を確実に実行します。
病棟から手術室へ勤務が変わった方は、「患者さんと触れ合う時間が少ない」「機械的で看護の成果を実感できない」と戸惑いを感じるようです。
けれども、担当した手術が無事成功した時や、術後に患者さんを訪問した時、あの手術を乗り越えて、今は回復に向かっている姿を見た時に良かったとやりがいを強く感じることができます。
手術室の勤務は、高度で正確な看護技術が第一と思われますが、短時間で濃厚な連携が必要になります。また手術前に強い不安を抱える方もいますから、精神的な不安をできるだけ解消させてあげる必要もあります。そのため、高度なコミュニケーション能力が必要です。
● ICU(集中治療室)
ICUでは、急性期に当たる患者さんの命を守るために24時間見解体制で集中治療するところです。大きな手術を受けた後や救急で即命に係わる重傷を負った方が次々と運ばれてきます。病気の区別なく受け入れる必要があるため、様々な領域にまたがった幅広い知識と確かな看護技術が求められます。また、重症の患者さんが多いため、特にミスが許されない職場でもあります。
ICUの看護師になるには、ICUがある大病院へ就職し、数年の経験を経て認められれば移動できるということになるでしょう。通常は経験豊かな看護師が配属されますが、病院によっては将来実力ある看護師を鍛えることを目的として数名新人を入れる所もあります。ICUを目指す看護師の中には、数年現場で経験を積んだ後に、もう一度大学に編入して学びなおす方もいます。
● 自分で選べるの?
このように、同じ病院内であったとしても様々な働き方があります。
新人看護師は、まず新人用の教育カリキュラムにのっとって研修を積んでいきます。さまざまな研修と経験を積みながらいろんな科を移動していきます。どの科に背側されるかは上司の判断で大体決まりますが、ある一定の期間を過ぎたらほかの科へ移動し、さらに他分野の経験を積むという形です。
自分から科や分野を選部ことができるようになるのは、少なくとも数年経験を積んだ後になります。将来の可能性を広げるためにも希望通りかどうかよりもまずは幅広く経験を積んでおくことが大切です。人事について希望調査を取るときに自分の希望を伝えておくと、努力や実力が評価されたときに移動することができるかもしれません。
小さな病院の場合、いきなり実践となり、科も自由選択でない場合もあります。これも病院の規模や方針によって異なりますので、就職支援会社などで就職先の情報収集をしてみましょう。
★ 看護師のいろいろな仕事
各科や病院・クリニックなど様々な場所で働く看護師
⇒ http://gaterocket.com/subject/ambulatory.html
★ 看護師のやりがい
手術室の看護師の役割などについて
⇒ http://goo.gl/hCiMwJ
★ ICUで働く看護師
⇒ http://www.impactbmsl.com/01.html